長期優良住宅に関する説明   2009-6-3

福山市の工務店
概要

長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅である「長期優良住宅」について、その建築及び維持保全に関する計画(「長期優良住宅建築等計画」といいます。)を認定する制度の創設を柱とする「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月に公布され、平成21年6月4日に施行されました。
認定のポイントは、大きく分けて2つです。
@建築する住宅が定めた基本性能を満たしているか。
A維持管理計画が妥当かどうか。
この2つがともに基準に適合していれば認定を受けることができます。@の基本性能については、指定性能評価機関などが行っている住宅性能表示制度などを使って第三者による証明を受ける必要があります。また、Aの維持保全の計画についても、基準が省令で定められることになります。
 この法律では、長期優良住宅の普及の促進のため、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性の性能を有し、かつ、良好な景観の形成に配慮した居住環境や一定の住戸面積を有する住宅の建築計画及び一定の維持保全計画を策定して、所管行政庁に申請します。当該計画の認定を受けた住宅については、認定長期優良住宅建築等計画に基づき、建築及び維持保全を行うこととなります。(国土交通省ホームページより)
◎ この制度を普及させるために、政府は税制や融資などにおいて、優遇制度を予定しています。
法の目的
住生活基本法(平成18年法律第61号)においては、ストック重視の住宅政策に転換することとしており、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会へ移行することが重要となっています。このような状況にかんがみ、住宅を長期にわたり使用することにより、住宅の解体や除却に伴う廃棄物の排出を抑制し、環境への負荷を低減するとともに、建替えに係る費用の削減によって国民の住宅に対する負担を軽減し、より豊かで、より優しい暮らしへの転換を図ることを目的として制定されました。(福山市ホームページより)
基準
長期優良住宅の認定基準の内容

@省エネルギー性-- 対策等級4に適合する住宅
・省エネ法に規定する省エネルギー基準(次世代省エネルギー基準)に適合すること。

A耐 震 性 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上に適合する住宅
・基準法に定められた耐震性に対して等級2では1.25倍、等級3では1.5倍の耐震性能の建物

Bバリアフリー性-- 高齢者等配慮対策等級3以上に適合する住宅
・共用廊下の幅員、共用階段の幅員・勾配等、エレベーターの開口幅等について必要なスペースを確保すること。

C可変性-- 居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な処置が講じられていること。(一戸建ての住宅は除かれています)
・配管、配線のために必要な躯体天井高

D劣化対策-- 劣化対策等級3以上に適合する住宅
  〔木造〕
・床下及び小屋裏の点検口を設置すること。
・点検のため、床下空間の一定の高さを確保すること。

E維持管理-- 維持管理対策等級3以上に適合する住宅
・構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること。 (区画されたパイプスペースなど)
・更新時の工事が軽減される措置が講じられていること等


F住戸面積-- 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
・一戸建て住宅--一階の床面積が40u以上で、延床面積75u以上
・共同住宅は75平方メートル(高齢単身者向けは40u)以上


G居住環境-- 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること
・地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和が図られること。

H維持保全の方法-- 建築時から将来を見据えて、定期的な点検等に関する計画が策定されていること
・維持保全計画に記載すべき項目については、@構造耐力上主要な部分、A雨水の浸入を防止する部分及び B給水・排水の設備について、点検の時期・内容を定めること。
・少なくとも10年ごとに点検を実施すること。


以上9 項目が必須となり、
適合証明書が(適合証明検査機関が発行)必要となります。

認定計画実施者は、認定長期優良住宅の建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し、保存する必要があります。
住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する登録住宅性能評価機関による技術的審査等(事前審査)を受けたものを認定申請することができます。
スズハハウスは15年以上も前から、「長期優良住宅」 レベルに対応した家を建築しています。
しかし、この国の推奨する「長期優良住宅」の申請には懐疑的な立場です。現状の制度のままでは、後で手間や費用が膨大にかかるような羽目になる紛らわしい制度だと思います。(下記のデメリットをご参照ください。)

国土交通省の長期優良住宅認定基準を見る限り、スズカハウスのツーバイフォーは、現在、通常施工している工事のごく一部の変更で、長期優良住宅の適合となります。
ただし、事前個別認可をとるなどの別途費用(下記参照)が必要となります。


必要変更点
@構造計算 A申請関係費用 B一部断熱材の厚みのみ
手続き
登録住宅性能評価機関による事前審査を受けるか、または、直接 福山市に認定申請を行う。

(登録住宅性能評価機関による事前審査を受けた場合は、認定申請手数料が減額されます。現実的には、
 住宅性能評価を取る必要があるので、評価期間による事前審査を受けることになります。)


※住宅性能表示は任意の制度ですが、建物の性能を明確にするために性能表示を採用する場合や銀行融資やフラット35の優良住宅取得支援制度(S)を採用する場合には必ず耐震等級対応となります。

費用 住宅無料相談

概算費用
1. 登録住宅性能評価機関による技術的審査を受ける必要があります。 15〜20万円
2. 耐震性耐震等級 2以上の認定をうけるためには、特別の構造計算が必要です。
耐震等級対応の場合、殆ど仕様規定で設計対応せず構造計算対応となる場合が多く、
◎構造計算対応の設計費が追加費用としてかかってきます。
20万円
〜30万円
3. 本来の設計費以外にも住宅性能表示対応の設計費が必要 数万円
4. 認定申請手数料 未定
5. 建築費の増分金額
 (通常の木造軸組み工法からの増額分)
数十万円
〜100万円
メリット
◎減税措置として
@住宅ローン減税の最大控除額を600万円に拡充(一般住宅は500万円)

A住宅ローン減税との選択で、性能強化にかかった費用の10%相当額(最大100万円)を所得税から控除

B床面積120m2までの固定資産税を5年間2分の1に軽減(一般住宅は3年間2分の1)

C不動産取得税で課税標準からの控除額を1300万円に拡充(一般住宅は1200万円)

D登録免許税の税率を一般住宅特例より引き下げがあります。


◎住宅金融支援機構が開発中と言われる50年住宅ローン・フラット50(仮称)が利用可能になる予定。

○ フラット35S は、当初5年間0.3%(10年間に変更予定)の金利減免+住宅ローン所得減税1.2%(10 年間ローン残高5,000万まで)が適応されます。ローンを利用しない場合も最高100 万までの所得減税が実施されます。

○福山市では、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の施行の日から2010年(平成22年)3月31日までの間に新築された認定長期優良住宅については、120平方メートルを限度として、新たに固定資産税が課税されることとなった年度から5年度分(3階建て以上の中高層耐火住宅等は7年度分)の固定資産税を2分の1減額されます。
デメリット @建築費と設計料がアップします。
(耐震構造計算など、数々の計算書が必要となるので、設計料など(上記参照)で 50万円以上のアップとなります。さらに、在来軸組み工法では、工事費も数十万円アップします。)
 
    ※上記「費用」の項目をご参照ください。

A建てただけではダメなのです。  
「当該計画の認定を受けた住宅については、認定長期優良住宅建築等計画に基づき、建築及び維持保全を行うこととなります。」(国土交通省) またそのために記録を残しておく必要もあります。このために専門の会社への登録料が年間2万円以上必要となります。
当然、10年後との点検・地震や台風の後の臨時点検を必ず受けてメンテナンス(有償)を行う必要があります。

計画に沿つた建築及び維持保全が行われてない場合は改善措置を命じたり、認定そのものを取り消しすることができる規定が設けられている。
 
アドバイス

&私見
長期優良住宅』という言葉が、独り歩きをしそうです。
「日本の住宅は、欧米と比べて質が低くて、30年ほどしか耐久性がないと言われ、だから、欧米のように、100年以上の耐久性がある住宅をめざす必要があるんだ。」と、日本のある政治家が言っていました。そして、中古市場を活発にして、家という財産のストックを大切にしていかなければならないと・・・。
確かに、一見その内容は、正しいように聞こえますが、本当にそうなのでしょうか。

確かに一理ありますが、前提と対応策に大きな間違いがあるのに私たちは気づく必要があるように思います。
以下は、私見です。

1.  前提の疑問点---日本の住宅の耐久性が30年というのは、少し違うような気がします。
1981年に耐震設計法が抜本的に見直され耐震設計基準が大幅に改正され、現在の新耐震 設計基準が誕生しました。この、新耐震設計基準による建物は、阪神大震災においても被害は少なかったとされています。その後、1995年・2000年の改正で、耐震基準がより厳しく厳格化されています。1981年以降に建った建物であれば、構造的には50年以上は問題ないはずです。ただし、構造体に問題がなくても、高気密・高断熱仕様の施工を誤っている建物が多く存在しており、壁体内結露による構造体の腐食によって、建物の寿命を短くしているものがあることを、知っておく必要があります。つまり、構造体の問題よりも、高断熱・高気密住宅で在来工法の中途半端な高気密施工によって、壁体内へ湿った空気が入り、柱や梁を腐らせたり、カビが生えるようになっていないかをチェックする必要があります。
2. 認定基準内容の疑問点

◎ 最も根本的な問題点

 
建物の長期的な維持保全措置が計画通りに本当になされるかどうか疑問だということです。
たとえ建てたときに「長期優良住宅」に認定されても、10年後との点検がきちんとできて、直すべきところは直し、その記録をきちんと登録し続けることが本当にできるのでしょうか? (できなければ行政指導があると法律上は謳ってあります。補助金も返還が必要です。)

10年保証の外壁を20年・30年使っても認定が続くのかどうかは不明です。もし、メーカー保障期間を過ぎたものを使用継続したら認定を取り消されるのであれば、頻繁に改造をしてコスト高になることは間違いありません。
配管・配線は? 屋根は? どうも明確な規定がないようなのです。

◎ その他の問題点
@ 劣化対策の中に、
「壁体内結露を防ぐ対策」が入っていないこと。---大きな問題です!

A 一定の住戸面積を有する住宅の建築計画
一戸建て住宅が床面積100平方メートル以上は、都心か田舎かで大きな基準差があり、面積などは規定すべきではないのではないでしょうか?規定するのであれば、地域分けをして、都会を延床面積 30坪以上の家、地方や田舎は、40坪以上の家としてはどうでしょうか?

B あまりにも耐震のための構造の縛りを強くすると、個性的な家を建てることが難しくなってきます。
例えば、耐力壁が規定以下であっても、柱と梁を頑丈にすれば、耐震基準は上がるはずです。

C 規制によるコストアップは、社会負担となって、良い家を建てるために使う費用に当てられる資金を書類作成や申請費などの費用に使わなければならなくなります。

3. 私見ですが・・・
200年住宅を建てるかどうかは、相当に具体的なメリットを考えた上での対処が必要だと思います。
   
 現在解体される家を見てみると、構造的な寿命から解体されるものはほとんどありません。多くは「間取りが狭くて暗い家だから」とか「設備が古いから」とか「家族が増えた(減った)から」とかで、家の機能性や大きさを一新したいという希望によるものです。今計画する家を、200年後の生活形態にも合うように考えて建てておく事が可能なのでしょうか?

   
ところで、(都会の一部を除いた)大部分の日本は、定住社会です。年収や勤め先、家族形態の変化で、家を探して住む場所を変えるような欧米の社会とは習慣がちがいます。200年住宅をストックして、中古住宅の流通市場を拡大するといっても、そう簡単に定住社会の慣行は変わらないのではないでしょうか?

恐らく大金をかけた200年住宅でも、未来の人からすると、小さな家になってしまう可能性が高く、子孫以外の他人が住む可能性がどれくらいあるのでしょうか?恐らく、欧米のようには家を住み替えない日本では、200年住宅を建てる意義は、どれくらいあるのか大いに疑問です。
5代・6代先の子孫が今建てた200年住宅にそのまま(多少はリフォームしたとしても)住むということが想像できるのであれば、200年住宅を建てる意義はあるのかもしれませんが、そこまで未来を想像することは、難しいのではないかと思います。
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